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ご冥福をお祈りいたします

未完の美なりし大畑等逝く    美代子 気負ひ立つ昼の寒雷墨客来 冴返る石屋あまたの石並べ  俳句仲間だった大畑等さんが一月に亡くなられていたことを知りショックを受けた。私より若くて元気な人だったのに。一時期、毎日のように電話を下さり、長話をした間柄だったが、俳句のことで喧嘩になり、B型同士の遠慮のなさで言…
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韻20号から(2)

石抱いて泣いた母たち開戦日     美代子 前野砥水 哀しみを隠す装ひ金魚かな 白雨きて曇りガラスの二人かな 夕焼けを背負ひて帰るひとりなら 荒積みの貨車の檜と黒揚羽 平日のベンチのをとこ午後の秋 水谷泰隆 足音を重ねるやうに来る驟雨 輪中にて過ごす生涯遠花火 南方の少…
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韻20号から(1)

冬枯や犬がとぼとぼついて来る     美代子 佐佐木敏 さうざうしき風を鎮める病葉や 藁塚に凭れて気付く人の恩 海の霧母郷目指せば暗くなる 短日や寂寥のまんなかにゐる 来し方が徐々に際立つ霜柱 小笠原靖和 蝉の殻前略七十年さみし 枯向日葵なぜ玉砕といふのだらう 旗竿…
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韻19号 から

特別作品 「三尊」  依田美代子 合唱する春の学校ふくらめり 唐青磁の壷のしじまに梅を挿す 直に散る梅かのひとを弔ひて 初音聴くふつうの山の裾に住み 沈丁の母系の香り黙読す 夜桜の呪縛を抜けん蕎麦屋の灯 花冷に我あり朝を細細と ありたけの白そよがせて韮の花 濃く淡く日常はあり草萌ゆる…
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韻18号から

万緑の気を道連れに逝きし人   美代子 森 千恵子(特別作品から) あふれ出て木曽より尾張春の水        春兆す涸れたるものの奥ぬれて 底なしの時やはらかに春夕焼 春寒し鳴る電話まで虚のへだて たんぽぽや出発点に戻れるか 小笠原 靖和 この過剰を日常といふ藪枯らし しぐ…
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わが師、後藤昌治

             「わが師 後藤昌治」  今年の三月の添削に添えられた先生のお手紙に 「二月に体調不良が数日間続き、禁酒禁浴をして、やっと回復し、九日の中日句会は万全でした」とあり、思わずヒヤッとしたが、お元気になられたご様子に安堵した。   ご指導を仰ぐようになって早や二十数年が過ぎた。若いころ一年ばかり郵便での添…
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韻16号から

小笠原靖和 蕗を煮るここに赦しの刻流れて 無窮より花の百ひら死を生きむ 崩れんとしてぼうたんや<信>難く 山河荒れたけのこ焚いてゐる男よ 草笛を草に戻してさすらへり 奥磯照子 緑雨なる滴うつくし窓硝子 五月晴人より遠く山鳩生く 孵化を経て蝶は舞ひ舞ふ別離かな 蚊遣香睡りの底…
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韻15号から (2)

ささやかな幸せくれしチューリップ   美代子 「毀れたままに」  永井江美子 あの頃の夢を炎として睦月尽 さえざえと越えゆくけふを寒鴉 まんさくの黄の重なりの断末魔 動きだす影やふらここ鉄臭し 君はまだ毀れたままに春の雪 雪折れの桜木ならば抱かれよう 炭熾す少しあの世を知った夜 …
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韻15号から

今はただ漂ひませう朧の夜       美代子 「情死」 小笠原靖和 胡桃二つ三つ棄郷をただよはせ しづかなる闘ひ天を突く裸木 情死など火の見櫓の雪を浴び 猫の恋酒とか米とかを買ひに 戦慄の寒鮒天に張りついて 葱にほふとき一介の無頼派は 霙が叩く卒塔婆とほくへきたもんだ 水餅といふ…
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俳句な夜  韻二号

紫蘇の実をしごく遠くの昏睡よ 幻日を仰ぐ喪服の一人として 蜩や棄て自転車立つ頑なに 背泳ぎをしながら泣いた伊勢の海 手も足も笑ふ嬰児鵙日和 柿吊るし砦のやうに人拒む 武家屋敷跡の毛羽立つ枇杷の花 朝明けの多感な檸檬そつと捥ぐ 深き黙ありてとび立つ冬の蝶 自刃の将墓標とし…
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韻 1号

秋刀魚焼く昨日が遠き日のやうに     美代子 能面の静かなる笑み冬に入る 菊日和己れ四角に畳みゐる 空港はしぐれ帰国のランディング はくれんの空よ翼が欲しきかな 帯固く薄茶を受けし花の蔭 雪晴の眩しき町の客となる ボヘミア・カットして桃買つて帰る 金風や詩人となれる椅子探す 蝿を追…
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