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韻31号用句

洗ひ髪風に戦ぐよ<黄金律>     美代子 「歓喜」 余花の雨魚拓の眼しんと澄む 黒南風や塩ひと掴みして立ち上ぐる 手庇で見る若葉山歓喜に満つ こぼれ咲く雪柳なり母は亡し 紫木蓮自縄自縛の門出でず わけありて勿忘草を括りけり 風吹けば風に揺られて枇杷色む 複雑な人あり馬鈴薯花ざか…
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「韻」30号用句

叔父の忌の怒りのやうな春驟雨       美代子 「破邪の舞」  依田美代子 秋闌くる羽生結弦の破邪の舞 水音の耀ふ花店薔薇を選る 石に坐し冬の日差しに孤をさらす 鶏旦や早や日常の水の音 背き合ふ冬薔薇二輪しづかな部屋 初仕事をとこの貌をととのへて 語り部の女優逝きたり冬たんぽぽ …
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韻28号句

「武陵桃源」  依田美代子 うしろへと進む春耕孤影連れ 復興の火ぞ菜種殻燃え上る 東京の磁力の内よ野蒜摘む 飛花落花人濕りした電車着く 遠き日の藤の記憶の中にをり 田舎家にふどしはためく労働祭 女人禁制議論再燃リラの冷 夏霧の静寂の中美容院 武陵桃源うつらうつらと茄子育つ 夏風…
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韻27号から

春愁の夜の鏡に紅拭ふ     美代子 千葉みずほ 情熱の地球儀まわる風祭 矢印をすすめば疲れ果てた砂漠 雪の夜あおく散らばる電子音 この道は君へとのびる春のカフェ 雪解けの野をひかりまで連れてゆく 片山洋子 神無月神社の裏にひよこ売り 四丁目古戦場らし河豚に肝 神楽坂五…
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思い出

恋文か密書か侍菊人形     美代子  「もしもし、あの 「地表」 の編集部はこちらでよろしいでしょうか?」  「はい、そうですよ」。  「恐れ入ります。私は俳句を勉強している者ですが、地表のファンなので、定期購読の申し込みをしたいのですが」。  「ん~、それは構わないが、普通は誰かの紹介で入会して、それからというこ…
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韻25号句「蛍火」 依田美代子

永世や蛍火の紐縺れ合ふ    美代子 「蛍火」  依田美代子 1)  神々と遊ぶ妣(はは)かも水温む 2)  まだ煙る芥火三・一一よ 3)  燃え尽きし椿の花を掻き集む 4)  恋成就せしや山独活紅ほのか 5)  安閑と浸る菖蒲湯大慈大悲 6)  沈黙を続けるもよし罌粟の花 7)  さ…
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鑑賞文拝受

俳句観賞01  人に幸あり花蜜柑競ひ咲く  美代子  この俳句を読んで、私が考えたことは沢山ある。それらの一つを書いて見たい。もちろん、私は、作者の俳句の良し悪しとかを論ずるものではない。 この作者の言葉は、表面的なものではなく、内部から滲み出しているものであり、この作者の真理への認識の深さを現していると、私は感じとっ…
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韻23号 依田美代子

身のほどのけふの眉引く悴みて  美代子 空蝉のぬくもりを掌に白くゐる   美代子 目を据ゑて釘打つ大工溽暑なり 木漏れ日の白のうつつを蜥蜴這ふ 堂々の大河濁れり野分晴 ぐづる空宥めひらひら遠花火 身の傍に音楽のある秋濕り 息甘く眠るみどりご望月夜 少女らの青春の私語こぼれ萩 肩に…
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韻23号から

河濡らす音なき雨や一葉忌   美代子 片山 洋子 かなかなやそろそろねぢを巻く時間 稲雀田舎芝居の雨あがり もみぢ散る鉄路のむかう海鳴りす 枯かづら放浪癖は治らぬか 芒野は朽ち水音のしてゐたり 金子 ユリ どことなくキリンの匂ひ秋の駅 買物の男さびしき昼の月 いちめんの…
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韻22号 「蛍の夜」 依田美代子

木漏れ日の白のうつつを蜥蜴這ふ   美代子 「蛍の夜」 依田美代子 花筵風に捲れて暮れ泥む        うぐひすがよく啼く友の忌日なり 己が分を知りて吹かるる韮の花 草莽の前掛け地蔵飛花落花 片割れの余生もよけれ風の花 蝶眩し棄て畑いつか野となれり 落椿燃ゆる想ひを俯きて …
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韻22号から

反戦の拳を挙ぐる稲の花     美代子 渡邊淳子 火事跡に紋白蝶がきて止まる 笑い皺増やして春の山に向く フクシマが語りはじめた桜貝 余震かなたんぽぽの茎長く伸び 朝まだき花舗にまぎれしかたつむり 片山洋子 春泥のうはずみみたいな愛もあり ふるへてるゼリーのやうな渋谷出づ …
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野焼の景(韻21号)

花屑に坐し唇に紅を足す  美代子 「野焼の景」依田美代子    当地へ越してきた次の年だっただろうか。二月の半ばに付近で大規模な野焼きが行われることを知り、一句を得たいとの思いにかられた。吟行を兼ねて必ず行こうと心に決めて一日千秋の思いで待った。  その日はその冬一番と思える寒さで、風邪をひかないようコートの上に黒い…
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韻21号から(2)

連山へ翼広げて春日没る   美代子 水谷泰隆 月光に浸るひととき修行僧 愚者が賜はる冬の田のエネルギー 普段着のままの毎日日向ぼこ 便箋に雪の結晶添へてある 平穏な地表がありて蕗の薹 森千恵子 売払ふ古書にこよなき秋晴天 蓮根掘り四肢は自由に不自由に 無花果の枝撫でまは…
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韻第21号から(1)

暗号のやうな囀不穏の世    美代子 寺島たかえ 空咳を残す一期の淋しくて 喧噪を遁れ秋蝉弧愁なり こちら向くかほを取り巻く冬がある 重荷提げ暮雪を戻る只今と 白木瓜や白を極めて了りけり 片山洋子 東京の風冬帽にをさまらぬ いちまいの凍蝶水になる途中 枯蓮は最後の砦とし…
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ご冥福をお祈りいたします

未完の美なりし大畑等逝く    美代子 気負ひ立つ昼の寒雷墨客来 冴返る石屋あまたの石並べ  俳句仲間だった大畑等さんが一月に亡くなられていたことを知りショックを受けた。私より若くて元気な人だったのに。一時期、毎日のように電話を下さり、長話をした間柄だったが、俳句のことで喧嘩になり、B型同士の遠慮のなさで言…
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韻20号から(2)

石抱いて泣いた母たち開戦日     美代子 前野砥水 哀しみを隠す装ひ金魚かな 白雨きて曇りガラスの二人かな 夕焼けを背負ひて帰るひとりなら 荒積みの貨車の檜と黒揚羽 平日のベンチのをとこ午後の秋 水谷泰隆 足音を重ねるやうに来る驟雨 輪中にて過ごす生涯遠花火 南方の少…
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韻20号から(1)

冬枯や犬がとぼとぼついて来る     美代子 佐佐木敏 さうざうしき風を鎮める病葉や 藁塚に凭れて気付く人の恩 海の霧母郷目指せば暗くなる 短日や寂寥のまんなかにゐる 来し方が徐々に際立つ霜柱 小笠原靖和 蝉の殻前略七十年さみし 枯向日葵なぜ玉砕といふのだらう 旗竿…
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韻19号 から

特別作品 「三尊」  依田美代子 合唱する春の学校ふくらめり 唐青磁の壷のしじまに梅を挿す 直に散る梅かのひとを弔ひて 初音聴くふつうの山の裾に住み 沈丁の母系の香り黙読す 夜桜の呪縛を抜けん蕎麦屋の灯 花冷に我あり朝を細細と ありたけの白そよがせて韮の花 濃く淡く日常はあり草萌ゆる…
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韻18号から

万緑の気を道連れに逝きし人   美代子 森 千恵子(特別作品から) あふれ出て木曽より尾張春の水        春兆す涸れたるものの奥ぬれて 底なしの時やはらかに春夕焼 春寒し鳴る電話まで虚のへだて たんぽぽや出発点に戻れるか 小笠原 靖和 この過剰を日常といふ藪枯らし しぐ…
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わが師、後藤昌治

             「わが師 後藤昌治」  今年の三月の添削に添えられた先生のお手紙に 「二月に体調不良が数日間続き、禁酒禁浴をして、やっと回復し、九日の中日句会は万全でした」とあり、思わずヒヤッとしたが、お元気になられたご様子に安堵した。   ご指導を仰ぐようになって早や二十数年が過ぎた。若いころ一年ばかり郵便での添…
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韻16号から

小笠原靖和 蕗を煮るここに赦しの刻流れて 無窮より花の百ひら死を生きむ 崩れんとしてぼうたんや<信>難く 山河荒れたけのこ焚いてゐる男よ 草笛を草に戻してさすらへり 奥磯照子 緑雨なる滴うつくし窓硝子 五月晴人より遠く山鳩生く 孵化を経て蝶は舞ひ舞ふ別離かな 蚊遣香睡りの底…
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韻15号から (2)

ささやかな幸せくれしチューリップ   美代子 「毀れたままに」  永井江美子 あの頃の夢を炎として睦月尽 さえざえと越えゆくけふを寒鴉 まんさくの黄の重なりの断末魔 動きだす影やふらここ鉄臭し 君はまだ毀れたままに春の雪 雪折れの桜木ならば抱かれよう 炭熾す少しあの世を知った夜 …
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韻15号から

今はただ漂ひませう朧の夜       美代子 「情死」 小笠原靖和 胡桃二つ三つ棄郷をただよはせ しづかなる闘ひ天を突く裸木 情死など火の見櫓の雪を浴び 猫の恋酒とか米とかを買ひに 戦慄の寒鮒天に張りついて 葱にほふとき一介の無頼派は 霙が叩く卒塔婆とほくへきたもんだ 水餅といふ…
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俳句な夜  韻二号

紫蘇の実をしごく遠くの昏睡よ 幻日を仰ぐ喪服の一人として 蜩や棄て自転車立つ頑なに 背泳ぎをしながら泣いた伊勢の海 手も足も笑ふ嬰児鵙日和 柿吊るし砦のやうに人拒む 武家屋敷跡の毛羽立つ枇杷の花 朝明けの多感な檸檬そつと捥ぐ 深き黙ありてとび立つ冬の蝶 自刃の将墓標とし…
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韻 1号

秋刀魚焼く昨日が遠き日のやうに     美代子 能面の静かなる笑み冬に入る 菊日和己れ四角に畳みゐる 空港はしぐれ帰国のランディング はくれんの空よ翼が欲しきかな 帯固く薄茶を受けし花の蔭 雪晴の眩しき町の客となる ボヘミア・カットして桃買つて帰る 金風や詩人となれる椅子探す 蝿を追…
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